Sherilyn Monroe really likes Rally Lawren.
さて、土曜日はレッスンの後に遊べる日だ。
「まずは飯にしようか。」
「父さん、先日のスパゲティの材料はまだあるの?」
「あるよ。あれを作ってくれるのか。」
「うん。あれでいいんじゃない?」
「いいねぇ。あれはうまかったからなぁ。ただしきょうはノンアルスパークリングワインを用意してないから3人とも水・お茶・紅茶のどれかを選んでくれ。」
「はい。了解。」
料理の道具と材料を用意しながら3人はきょうの遊びの計画をする。
「何して遊ぶ?」
「野球?」
「ダメだ。うちには道具がない。きょうのために3人分の道具を買ったりしないぞ。」
「ゲーム。」
「ピコピコならダメだ。ピコピコは一度パターンを知ってしまうと、そのあとは反射運動だけでやるようになる。もっと脳を使うゲームにしてくれ。まずは屋外での遊びと屋内での遊びの二択だろう。最近ふたりは通学してないことだし、屋外はどうだ?」
「屋外で野球がダメとなると…サッカー・テニス・バドミントン・キャッチボールくらいかな。」
「サッカーがいい。智哉、ボールを持ってるか?」
「ない。遼一は?」
「うちにもない。」
「なら買おうか。ブラジルその他の貧しい国がなぜサッカー大国なのかを知ってるかい?サッカーならボールさえあれば遊べて、遊びが興じればプロの選手になれるからさ。さあ、ボールを買って、運動場に向かおう。智哉3人分の水を水筒に用意してくれ。」
「はい。了解しました。」
車の中で大樹さんは L と R の発音の違い説明をしてくれた。練習も少しした。
「L の発音は「el」。上顎の裏に下の先をつけた時点で終わり。決して「elu」といわないように。よって “ball” の語尾の発音は “bo-l”となる。”wall,” “fall” についても、語尾の発音については同じ。一方 “R” の発音は、下の先を口の中で立てておいた状態から、下の先を口の奥に近づけていって終わり。よって “door” の発音は “do-r” となる。
「例文を作ったぞ。これの発音練習をしてみよう。」
Sherilyn Monroe really likes Rally Lawren.
「今回はこの一文だけだ。L と R を意識しながら単語ひとつずつ発音してみよう。SheriLyn。」
「SheriLn。」
「MonRoe。」
「MonRoe。」
「ReaLLy (著者注釈:伸ばせる2つの子音が続いたら、その2つをつないで1つの子音として発音する)
「……Lawren。」
「……Lawren。」
「いいね。その調子でこの一文全体を繰り返して練習してごらん。練習の成果は帰りの車で聞くよ。」
スポーツ用品店に着くと3人はサッカーボールを探し始める。
“OK, young man, let’s find a good soccer ball.”
大樹さんのセリフが突然英語になった。習ったばかりの英語をボクたちにきかせるつもりだ。
「ボール売り場はこっちみたいです。」
「いろいろあるな。迷うか?」
「はい。」
「智哉はどうだ?」
「いっぱいあって迷います。」
「迷ったときにはまず直感で候補を挙げろ。値段を見るのはその後だ。」
「これがいい!」
「ボクもそう思う。」
「なぜそれなんだ?」
「ガラがカッコいいからです。」
「アディダス製。割引があって5000円か。まぁいいだろう。
これで二人が外で遊ぶようになれば、安い買い物だ。支払いを済ませると、私たちは運動場に向かう。
遼一くんも智哉も、ネットに入ったボールを持ち歩いてると、「やってる」っぽい気持ちになるらしく、二人とも喜んでいる。
「二人とも、サッカーの経験は?」
「体育の授業で少しやったくらいです。」
「右に同じ。」
「そうか。なら毎回テーマを決めて練習してから1オン1をやるのがいい。毎回が1オン1だとそのうち飽きるからな。では、きょうのテーマは?」
「リフティングがいいんじゃない?」
「1対1のパスもね。」
「よし、その2つでいこう。」
私は口を出さずにただ見ていた。リフティングは難しい。初心者は3回やるのが精一杯だ。20分くらい粘ったのち、遼一くんは5回できるようになった。
「そ、そろそろパスの練習に移ろう。」
「ああ。」
二人とも息が上がってる。リフティングは見た目よりも運動量が多いし、初心者は無駄な動きをするから、無理もないだろう。パスは二人ともうまい。インサイドキックがちゃんとできている。
さて1オン1は? …………ダメだこりゃ。二人とも攻めることばかりを考えて、守ることを考えてない。
「水をください。」
「水を持ってきてよかったなあ。さあ、帰るぞ。」
「大樹さん、サッカーボールをありがとう。」
「良いってことよ。どんな生き方をするにも身体は大切だ。身体を大切にするといい。… 疲れているみたいだから続きは水曜日にするか?」
「いえ、いま少しならできます。ボクからいきますね。 “Sherilyn MonRow Really Likes Larry Lawren.”
「はい次は遼一くん。」
“Sherily M…………… Larry Lawren.”
「いま感じていることを言葉にして。智也から。」
「日本語にない音が2つもあって、やりにくいと感じます。」
「日本語では L も R もラ行の子音だから、L と R がゴッチャになります。」
「まあ、二つともよくある感想だよ。それでも、二人はその例文をゆっくり・はっきり読もうとした。それはとてもいいことだ。その調子で練習を続けてくれ。次回はまず “This Little Pig Went to Market” をやって、Sherilyn は最後に少しだけだ。」
「はい。わかりました。」
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